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最果ての木
――私は、ここに立っている。 村の中心に、一本だけ根を張り続けている木だ。 人々は私のことを「憧れの木」と呼ぶ。 それもそのはずだろう。 私は芽吹いてからというもの、驚くほどの速さで育った。 幹は太くなり、枝は空をつかむように伸び、 実はどれも瑞々しく、大きく、重たく実った。 風が吹くたび、村のあちこちから声が届いた。 「すごいね」「立派だね」「あんなふうになれたら」 その声は、私の年輪の奥に、静かに染み込んでいった。 だが、すべての視線が温かかったわけではない。 私の成長はあまりにも早すぎた。 昨日まで細かった幹が、今日にはもう別の木のように見える。 枝ぶりが変わり、影の形も違う。 人は、理解できない変化を恐れる。 いつしか私は「憧れ」ではなく 「異質なもの」として見られるようになった。 ――欺きの木。 そんな名で、囁かれていることも知っていた。 そして、ある時からだ。 私の中を流れていた力が、急に弱まった。 葉は艶を失い、実は落ち、幹の奥が軋むように痛んだ。 人々は心配そうに私を見上げた。 だが、誰も気づかなかった。 私が、初めて“立ち止まっ


ハッピーパズル
これは、 「幸せになりたい」と願った人のもとに、 ある日突然届けられる――少し不思議な贈り物の話だ。 それは、薄い段ボール箱だった。 差出人は、ネットで検索したところヒットこそしたが、一度も聞いたことのない玩具メーカー。 中には緩衝材と、小さな箱が三つ。 そして一枚の紙が、丁寧に折りたたまれて入っていた。 ―――――――――― 突然のお届け、失礼いたします。 玩具メーカー○○でございます。 このたび弊社では“解くと幸せになれる”パズルを試作いたしました。 本品は、抽選ではなく“条件を満たした方”へお送りしております。 内容は三つのパズル。 すべてを解くことができた方には特別な変化が訪れるとされています。 なお、試作品につき代金は不要です。 ただ、解けた方はぜひとも弊社宛にご感想を。 どうぞご自身のペースでご自由にお楽しみください。 ―――――――――― ・・・怪しい。 そう思わなかったと言えば嘘になる。 それでも、不思議と手放す気にはならなかった。 問い合わせをして真偽を確かめるよりも、今すぐ中身を見たいという気持ちのほうが勝っていた。...
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