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ドリームボックス
―――ドリームボックス。 僕が今いる、この箱の名前だ。 夢がたくさん詰まっている場所・・・らしい。 でも、ここに来てから、 楽しい夢を見たことは一度もない。 僕はある日、 大好きなご主人様に連れられて、 いつもとは違うところへやって来た。 それは、 機嫌がいい日に連れて行ってもらえる公園でもなく、 おやつの匂いが溢れているお店でもなく、 注射が痛い病院でもなかった。 初めての場所だった。 床は冷たく、 空気は知らない匂いでいっぱいで、 胸の奥がきゅっと縮んだ。 それでも僕は、 ご主人様の足元で背筋を伸ばし、 「いい子だね」と言われる姿勢を忘れなかった。 だって、 いい子にしていれば、 嫌なことは起きないと、 そう教えてもらってきたから。 ご主人様は、そこにいた人と少し話をした。 言葉はよく分からなかったけれど、 声の調子がいつもと違っていた。 そして、 不細工な笑顔と僕を残して、 どこかへ行ってしまった。 最初は、 すぐ戻ってくると思っていた。 怒られなかったから、 少しだけ安心もしていた。 でも、 いつまで経っても、 ご主人様は戻ってこなかった
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