向日葵のプロムナード
- 7月14日
- 読了時間: 3分
綺麗に舗装されたコンクリート道は途中で終わっている。
その先には、多くの人が踏み歩いてきたであろうあぜ道が伸びていた。
境目はあまりにあっけない。
白線も標識もなく、ただ「ここまで」と言わんばかりに舗装が途切れている。
振り返れば、真っ直ぐで歩きやすい道が続いていた。
先を見れば、細く、少し歪んだ土の道が、陽炎の中へ溶け込んでいる。
夏の午後だった。
照り返す日差しに、アスファルトはまだ熱を残し、
足元の空気がゆらゆらと揺れている。
蝉の声が遠く近くで重なり、
風が吹くたび、青い匂いが鼻をかすめた。
あぜ道の両脇には、向日葵が並んでいた。
背丈は不揃いで、どれも完璧とは言い難い。
茎は少し曲がり、葉には虫食いの跡があり、花弁も揃っていない。
それでも、向日葵たちは揃って空を向いていた。
まるで、何かを信じる方向だけは間違えまいとしているかのように。
私はしばらく立ち止まり、どちらの道に進むべきかを考えていた。
舗装路は安全だ。
迷うこともなく、足を取られることもない。
誰もが安心して通れることが保証されている道だ。
だが、その先には、もう何も続いていない。
一方、あぜ道は違う。
靴は汚れるし、歩幅も定まらない。
小石に躓くかもしれないし、
いつの間にか、行き止まりになっている可能性もある。
それでも――
確かに、誰かがここを歩いてきた跡がある。
その事実が、妙に胸に残った。
向日葵の間を抜ける風が、シャツの裾を揺らす。
遠くで子どもの笑い声が弾み、
水路の水が、きらきらと光を跳ね返していた。
私は一歩、あぜ道に足を踏み入れた。
土は柔らかく、思ったよりも優しかった。
舗装路のような安定感はないが、
一歩ごとに、確かな感触が伝わってくる。
向日葵の影が、道に落ちる。
その影は、真っ直ぐではない。
けれど、不思議と迷いはなかった。
振り返ると、コンクリート道はもう遠い。
だが、後悔はなかった。
この道は、選ばれなかった道かもしれない。
正解ではないかもしれない。
けれど――
ここには、夏の匂いがあり、風があり、
自分の足で進んでいるという実感があった。
向日葵たちは、相変わらず同じ方向を向いている。
それぞれ違う形で、違う高さで、
それでも光を見失わずに立っている。
人生も、きっと似ている。
舗装された道が終わる場所から、本当の散歩道が始まるのだ。
向日葵のプロムナード。
それは、誰かに用意された道ではなく、
自分の歩幅で、夏を感じながら進むための道。
足元に土を感じ、
空を仰ぎ、
少し汗をかきながら歩くこの時間こそが、
人生に、ちゃんと味をつけてくれるのだと思った。
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では、また次のブログでお会いしましょう(^^)ノシ



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