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心が一人でなければ

  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

夜の帰り道、街は思ったより静かだった。

人はたくさんいるのに、声だけが遠い。

スマートフォンの画面には、連絡先がずらりと並んでいる。

それでも、今この瞬間に「会いたい」と思える名前は、驚くほど少なかった。


若いころは、友達が多いことが誇らしかった。

予定が埋まっている週末、鳴り続ける通知。

孤独とは無縁だと信じていたし、そう見える自分でいたかった。

けれど、人に囲まれているはずなのに、心だけが取り残される夜が増えていった。


誰に話しても、話した気がしない。

笑顔を向けても、奥の部分は触れられない。

そんな会話を重ねるたびに、心は少しずつ、一人になる。


ある日、久しぶりに古い友人と会った。

特別な話はしなかった。

仕事の愚痴も、未来の夢も、深く掘り下げなかった。

それでも、沈黙が苦しくなかった。

同じ景色を見て、同じタイミングで息を吐けることが、こんなにも楽だったのかと驚いた。


その帰り道、ふと思った。

心が一人でなければ、それでいい。

周りに誰がいるかより、心の隣に誰が座っているかのほうが大事なのだと。


友達が十人いなくてもいい。

知り合いが百人いなくてもいい。

嬉しいときに「嬉しい」と言える人。

つらいときに、言葉が出なくても察してくれる人。

そんな存在が、数人いれば、人はちゃんと生きていける。


人は、数では救われない。

深さに救われる。

振ってくれる手の数ではなく、握り返してくれる力に安心する。


夜が深まり、街灯の下で立ち止まる。

今日話した言葉より、話さなかった時間のほうが、心に残っている。

それが、繋がっている証拠なのだろう。


たとえ世界から孤立しているように見えても、

心の中に誰かの温度が残っているなら、人は一人ではない。


心が一人でなければ、それでいい。

静かで、小さくて、確かな繋がりが、

今日もそっと、明日へ連れていってくれる。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

では、また次のブログでお会いしましょう(^^)ノシ

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