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心の窓をあければ
人の心には、それぞれ窓があるのだと思う。 大きな窓の人もいれば、小さな窓の人もいる。磨かれて外がよく見える窓もあれば、少し曇っていて、開けるのに勇気がいる窓もある。 私の心の窓は、どちらかといえば半分閉まったままだ。 外の気配は感じるけれど、風をそのまま入れるほどには開いていない。 以前の私は、無理に窓を開けようとしていた。 「もっと人と関わらなきゃ」 「心を開かなきゃ」 そんな言葉を自分に投げて、力いっぱい窓枠を押していた。 でも、固い。 音だけが大きくて、肝心の風は入ってこない。 それどころか、窓のきしむ音に自分が疲れてしまった。 ある日、ふと気づいた。 窓は、勢いよく開けなくてもいいのだと。 カーテンを少しずらすだけでも、光は入ってくる。 数センチ開ければ、外の空気はちゃんと教えてくれる。 今日は晴れているのか、少し冷たいのか、誰かが近くを通ったのか。 それで十分だった。 誰かと話すときも同じだ。 全部を見せなくてもいい。 心の奥まで一気に招き入れなくてもいい。 今日は挨拶だけ。 今日は一言だけ本音を添える。 今日はただ、相手の話を聞くだけ


コーヒーとリモコン
朝のキッチンに、コーヒーの匂いがゆっくりと広がる。 まだ完全には目覚めていない頭に、その苦みは少しだけ強い。 マグカップを両手で包みながら、僕はリビングのソファに腰を下ろした。 テーブルの上には、リモコンが置いてある。 いつもそこにあるはずのものだ。 昨日も、一昨日も、その前の日も。 なのに、改めて見ると、ずいぶんと無表情な道具だと思う。 テレビをつける。 朝の情報番組が、にぎやかに始まる。 天気、占い、ニュース。 どれも急いでいて、少しだけ大げさだ。 コーヒーを一口飲む。 まだ熱くて、舌の奥がじんわりする。 その間に、リモコンで音量を少し下げる。 このくらいが、ちょうどいい。 特別なことは、何も起きない。 今日の予定も、いつも通りだ。 仕事があって、帰って、また夜になる。 それだけだ。 それでも、 コーヒーが冷めていく速さと、 番組が切り替わるタイミングと、 部屋に差し込む朝の光が、 不思議ときれいに噛み合っている。 ふと、リモコンを裏返す。 電池のふたに、小さな傷がついていた。 いつの間についたものか、思い出せない。 きっと、忙しい日々のどこ


ちんぷんかんぷん
ぼくは、世の中のことがよくわからない。 大人の話はむずかしくて、 ニュースは早口で、 漢字はたまにケンカしてるみたいに見える。 「将来のことを考えなさい」って言われるけど、 将来って、いつから将来なんだろう。 あしたはもう将来? それとも、もっと先? 学校で先生が言う言葉も、 たまにちんぷんかんぷんだ。 でも、黒板のすみっこに落ちているチョークの粉は、 雨の日の雲みたいで、 それを見るとちょっと楽しくなる。 お父さんが言う「世の中は甘くない」も、 ぼくにはよくわからない。 甘くないなら、 アイスを食べればいいと思う。 ちゃんと冷たくて、おいしいから。 お母さんは「空気を読みなさい」って言う。 でも、空気は見えない。 読めない本は、 むりに読まなくていいんじゃないかな。 わからないことは、たくさんある。 時計のしくみも、 どうして雲は落ちてこないのかも、 大人がなんでいつも急いでいるのかも。 でも、 犬がしっぽをふる理由はわかる。 おなかがすいたときに、 ごはんの音がするとワクワクするのもわかる。 だいすきな人が笑ったら、 なんだかうれしくなるのも


手放してごらん。
誰かが言っていた。 「人はスマホを使う対価として、感情を支払っているんだよ」と。 その言葉を聞いたとき、 僕は笑って受け流した。 画面の向こうで起きていることに、 そこまで重たい意味があるとは思えなかったからだ。 指先ひとつで、 誰かの意見に触れ、 誰かの怒りに巻き込まれ、 誰かの成功を覗き見る。 それは便利で、刺激的で、退屈しない。 気づけば、夜はいつも短くなっていた。 ゲームの中では、 仲間がいて、役割があって、 自分の居場所がはっきりしていた。 失敗してもやり直せるし、 努力は数値で返ってくる。 現実より、ずっと公平だった。 現実の世界は、 曖昧で、遅くて、反応が薄い。 目を合わせるタイミングを誤ると、 それだけで空気が歪む。 だから僕は、 画面の中へ逃げ込むようになった。 ある日、久しぶりに実家へ帰った。 テーブルの上には、湯気の立つ味噌汁。 母は何も聞かず、ただ箸を並べていた。 「最近、どう?」 その一言に、 返す言葉が見つからなかった。 近況は、山ほどあるはずなのに、どれも説明しづらい。 画面の中の出来事は、この湯気の前では、急に色を


今の気分を「擬音」で表すワーク
自宅で簡単♪1分間のライトワークです! 今日は題して【今の気分を「擬音」で表すワーク】です! 〈ワークの内容〉 今抱えている感情をうまく言語化できない時にオススメです。 言葉にならないときは、擬音(オノマトペ)で。 ・もや〜 ・ずーん ・ぽわん ・ざわざわ ・しくしく などなど うまく言えなくて大丈夫です。 表現できた時点で、心は少し整理されています。 こんなイメージで行ってみてね♪ 朝いちの準備前やお昼休み、お休みの日にやってみてください( ^^) _旦~~ #癒し #お手軽ワーク # 今の気分を「擬音」で表すワーク


街角のアスター
街角に、ほんの一間ほどの小さな花屋がある。 ガラス越しに並ぶ花は派手ではないが、どれも丁寧に水を含み、朝の光を静かに受け止めている。 その店の名前は特に洒落てはいない。ただ、「アスターの花屋」とだけ書かれている。 店主のアスターは、33歳。 お店を開いてからもう10年になる。 花に囲まれた生活は長いが、家族と呼べる存在は、この街にいない。 六歳のころ、両親は離婚した。 原因は母の浮気癖だったが、人を責められない父は自ら家を出ていった。 その後ほどなくして母も蒸発した。 母の知り合いの家に引き取られて育った。 父はその後も全く戻らなかった。 声も、背中も、いつしか思い出せなくなり、記憶に残ったのは、花の名前を嬉しそうに教えてくれた横顔だけだった。 だからアスターは、この店を開いた。 父が好きだった花の香りが、いつか彼を導いてくれるかもしれないと信じて。 ある日、ひとりの男性が店を訪れた。 無口で、控えめで、黒い帽子を深く被っていた。 決して長居はしない。 それなのに、なぜか胸の奥に、小さく揺れるものがあった。 その日、アスターが差し出したのはアイリ


心の中で「大丈夫」を3回言うワーク
自宅で簡単♪1分間のライトワークです! 今日は題して【心の中で「大丈夫」を3回言うワーク】です! 〈ワークの内容〉 普段しないことをする前、緊張しやすい体験の前に行うことをオススメします。 まずは、 身体の中の古い空気と外の新しい空気を入れ替えるイメージ で、優しく2回深呼吸をしましょう。 理由はいりません。 ただ、心の中で 「大丈夫」「大丈夫」「大丈夫」 と、ゆっくり3回。 信じなくてもOK。 言葉のリズムが、心をなだめてくれます。 こんなイメージで行ってみてね♪ 朝いちの準備前やお昼休み、お休みの日にやってみてください( ^^) _旦~~ #癒し #お手軽ワーク # 心の中で「大丈夫」を3回言うワーク


心が一人でなければ
夜の帰り道、街は思ったより静かだった。 人はたくさんいるのに、声だけが遠い。 スマートフォンの画面には、連絡先がずらりと並んでいる。 それでも、今この瞬間に「会いたい」と思える名前は、驚くほど少なかった。 若いころは、友達が多いことが誇らしかった。 予定が埋まっている週末、鳴り続ける通知。 孤独とは無縁だと信じていたし、そう見える自分でいたかった。 けれど、人に囲まれているはずなのに、心だけが取り残される夜が増えていった。 誰に話しても、話した気がしない。 笑顔を向けても、奥の部分は触れられない。 そんな会話を重ねるたびに、心は少しずつ、一人になる。 ある日、久しぶりに古い友人と会った。 特別な話はしなかった。 仕事の愚痴も、未来の夢も、深く掘り下げなかった。 それでも、沈黙が苦しくなかった。 同じ景色を見て、同じタイミングで息を吐けることが、こんなにも楽だったのかと驚いた。 その帰り道、ふと思った。 心が一人でなければ、それでいい。 周りに誰がいるかより、心の隣に誰が座っているかのほうが大事なのだと。 友達が十人いなくてもいい。 知り合いが百人


今日「しなかったこと」を見つけるワーク
自宅で簡単♪1分間のライトワークです! 今日は題して【今日「しなかったこと」を見つけるワーク】です! 〈ワークの内容〉 1日の終わりに行うことをオススメします。 身体の力が抜けた状態で、今日1日をゆっくり振り返ります。 今日は何を “しなかった” でしょうか? ・無理をしなかった ・言い返さなかった ・全部完璧にやろうとしなかった できたことじゃなくて大丈夫。 守れた自分に目を向けるワークです。 こんなイメージで行ってみてね♪ 朝いちの準備前やお昼休み、お休みの日にやってみてください( ^^) _旦~~ #癒し #お手軽ワーク # 今日「しなかったこと」を見つけるワーク


鬼ごっことかくれんぼ
夕方の公園には、いつも決まった時間になると影が長く伸びる。 ブランコの鎖はきしみ、砂場は誰も触れないまま、昼の熱をまだ抱えている。 子どものころ、僕らはそこで鬼ごっことかくれんぼをした。 ルールは曖昧で、開始の合図も適当だったけれど、走る理由と隠れる理由だけは、はっきりしていた。 鬼ごっこは、捕まえられたくなくて必死に逃げる遊びだ。 息が切れても、足がもつれても、後ろから迫る足音が怖くて、ただ前へ前へと走る。 あのときの僕らは、「追われること」が負けだと思っていた。 一方、かくれんぼは違う。 息を潜め、物陰に身を縮め、見つからないようにじっと待つ。 物音ひとつ立てないように、心臓の音さえ邪魔に感じながら。 それでも不思議と、怖さよりも、誰かが探してくれている安心感のほうが勝っていた。 ――今思えば、あれは人生の予行演習だったのかもしれない。 大人になった僕らは、いつの間にかずっと鬼ごっこをしている。 仕事に追われ、評価に追われ、時間に追われる。 立ち止まれば置いていかれる気がして、逃げることをやめられない。 誰が鬼なのかも分からないまま、ただ走り
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